原油価格の急騰や株式市場の下落にもかかわらず、ビットコインおよび暗号資産市場は比較的安定した動きを見せている。しかし、60,000ドルから75,000ドルのレンジを明確に突破した場合、市場の安定が揺らぐ可能性がある。
現在、ビットコインはこのレンジ内を推移している。時価総額最大の暗号資産であるビットコインは、アジア時間の早朝から約3%上昇し、68,000ドル付近で取引されている。
先週は方向感に乏しい値動きが続き、価格は一時74,000ドル近くまで上昇した後、週末にかけて67,000ドルまで下落した。CoinDesk 20 Index(CD20)に含まれるイーサリアム(ETH)、XRP、ソラナ(SOL)も同様に上昇している。
中東情勢の緊張や株式市場のリスクオフ局面にもかかわらず、暗号資産市場が安定している背景には、米国株式市場の先行上昇およびビットコインがテクニカル的に売られ過ぎの状態にあった点が挙げられる。
市場の冷静さを示す指標としては、ビットコインの30日インプライド・ボラティリティ指数(BVIV)が約60%で安定していることが挙げられる。一方で、株式市場のVIX指数や原油、金のVIXは数週間ぶりの高水準へ上昇しており、伝統的な金融市場では不安が広がっていることを示している。
デリバティブ市場に目を向けると、マーケットメイカーは60,000ドルおよび75,000ドル付近で「ショートガンマ」のポジションを保有している。これは価格がこれらの水準を突破した際に、ポジション調整のため価格変動と同じ方向に取引を行う可能性を示している。
具体的には、価格が下落すれば売りを強化し、上昇すれば買いを増やす行動を取りうるため、その結果ボラティリティが拡大するリスクが存在する。
Amberdataのデリバティブ部門ディレクター、グレッグ・マガディーニ氏は次のように説明する。DeribitのGEX(ガンマエクスポージャー)を参照すると、ディーラーは60,000ドルと75,000ドル周辺で大きなショートガンマポジションを持っており、これは現在のレンジの天井と底に該当する。
市場がこのレンジを突破すれば、ネガティブガンマの影響を受け、ディーラーのポジション調整がボラティリティの更なる拡大を招く可能性があるという。
また、トレーダー自身もこの価格帯を強く意識し、ポジションのヘッジを行っているため、60,000ドルと75,000ドルは重要な攻防ラインとなっている。