Coinbaseのビットコイン利回りファンドが、ファンドサービス大手Apexの支援によりトークン化され、ブロックチェーン上での運用が進められている。Coinbase Bitcoin Yield Fundのトークン化シェアクラスは、Ethereum上に構築されたCoinbaseのレイヤー2ネットワーク「Base」上で提供されている。Apexは3.5兆ドル規模の事業基盤を持ち、自社のファンドトークン化も推進中だ。
Coinbaseの資産運用部門であるCoinbase Asset Management(CBAM)は、同ファンドのトークン化シェアクラスをBase上で展開し、Apexは引き続きこのファンドの名義書換代理人として、純資産価値(NAV)や記録の整合性を維持する役割を担う。
今回のファンドのトークン化は、グローバルな資産運用会社がトークン化を資本市場の次の進化段階と位置付け、債券や株式、ファンドのブロックチェーン上での取引促進を目指す流れの中で実現したものである。BlackRock、Fidelity、Franklin Templetonなど大手もすでにトークン化ファンドを導入し、決済時間短縮やコスト削減、新たな流通チャネルの開拓を試みている。
Coinbase Institutionalの責任者であるBrett Tejpaul氏は、同社の資産運用部門にはすでに多くの機関投資家の資本が割り当てられていること、また多くの投資家がビットコインやイーサリアムを中核資産として保有していると述べた。
同氏はCoinDeskに対し、「新たに参入する資本は単にビットコインの価格上昇を見込むだけでなく、その間に複利的リターンを享受できる構造を求めている」と語り、当該ビットコイン利回りファンドはコールオプション売却や貸付スキームへの参加などによってそのリターンを実現していると説明した。
トークン化資産は数兆ドル規模の成長市場になる可能性がある。McKinseyは2030年までに2兆ドル規模、BCGとRippleは2033年までに18.9兆ドルに達すると予測している。
3.5兆ドルの資産を支えるファンドサービス大手Apexもトークン化に注力し、昨年は320億ドル超の資産トークン化を支援してきた専門企業Tokenyの買収を実施。さらに、複数のブロックチェーンにまたがる所有権管理とコンプライアンス対応のため、2027年6月までにT-REX Ledgerを利用し1,000億ドル規模のファンドをトークン化する計画を明らかにしている。
Coinbase Bitcoin Yield Fundのトークン化シェアクラスはERC-3643トークン標準を採用し、投資家確認要件がトークン自体に組み込まれている。承認された投資家のみがこの資産の保有や移転を行うことができ、専用オンボーディング手続きにより各ウォレットに本人確認情報が紐づく。
この仕組みにより、従来の手作業によるコンプライアンス確認は自動化され、承認されていないウォレット間の取引は成立しない。これが機関投資家のファンド持分へのアクセスや移転時の摩擦軽減に寄与する可能性がある。
同ファンドは海外投資家向けに提供されているが、CBAMは米国内向けファンドについてもトークン化シェアクラスの設立を計画していると述べている。